なぜ日本は変わらないのか(政治の右左、経済の右左)

レポート:なぜ日本は変わらないのか 提言、意見

上越零細連 2021年今後の方向性(その2)
レポート「なぜ日本は変わらないのか(経済の右左、政治の右左)」

・とにもかくにも高鳥修一議員に提言を出した
・高鳥議員も政府に対して提言を出した
・それでも日本は変わらない
・なぜなのか

2回に分けて上越零細連2021年今後の方向性をお伝えしています。
今回はぜひ多くの方に知ってほしい、とても大事な日本経済のしくみをレポートします。

昨年12月に提言を手渡し、高鳥議員も再三に渡り党中央、首相官邸と提言を申し入れています。
零細連から上げた声は高鳥議員に届き、それを政府に上げるところまで来ていると言えるでしょう。

ところが与党の国会議員が声を上げているにもかかわらず、政府は財政健全化を理由に給付金を出すのを渋っている。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。ここでは日本の経済社会を、上越零細連独自の図解によって解説していきます。

上越零細連式「社会・経済図解」

まず図をご覧ください。(画像クリックで拡大)

名づけて、上越零細連式「社会・経済図解」。

この図が明らかにしていることは、私たちはこれまで政治(社会)の右左(図の下段)だけにとらわれて経済の右左(上段)を見落としてきたということです。

従来の政治の右左に経済の右左を加え、それぞれの組み合わせでできる4つの属性で判断しないと、日本を動かそうとしている政党、政治家、マスコミ、評論家、学者の主張は見えてこないのです。

この図によって、なぜ我々上越零細連の提言が国会議員を通して政府まで届いてもそれが実現しないかがわかります。詳しく説明しましょう。

政治(社会)の右左

政治の右左

これはよく言われる「右左」、イデオロギーの右左に当たります。

実は政治の右左は、極論すれば緊急時にあってはどうでもいい話なのです。

たとえば夫婦別姓の議論にしろ、ジェンダーの問題にしろ、それらは基本的には個人の良心の問題であって、他人によって強制される筋合いのものではありません。もちろんこの政治の右左を国会で議論するということは国家のあり方に関わる大事なことだと政治家は考えているということなのでしょう。

しかし、この議論は人の数だけ意見が異なりなかなか結論は出ません。長く議論ができるのも、それで餓死する人がいないからです。

しかし、経済の右左の違いはまさに我々中小零細事業者にとって死活問題です。
コロナ禍の日本において給付金ひとつとっても政府が出し渋るのは、経済の考え方が私たち庶民と異なるためです。私たちはまずその違いを知る必要があります。

政治(社会)の右左は個人の問題です。
我々上越零細連は、この政治の右左について関与するものではありません。

経済の右左の違い

経済の右左

それでは、ここで重要になる経済の右左の特徴、違いを見ていきましょう。

経済の「左」とは


再分配を重視
大きな政府を目指す
→ゆりかごから墓場まで国が面倒をみる

主張

国の借金」という考え方は嘘!
財政出動せよ!」
給付金の再支給を!

経済の「右」とは

新自由主義(ネオリベ)
経済的自由を求める
小さな政府を目指す
→政府の関与を減らす、自己責任、民営化

主張

国の借金が増えると日本は財政破綻する!」
財政健全化が必要!」
「経済のグローバリズム
→海外の労働力を安く使うぞ!

現在の日本、世界は経済は新自由主義に染まっています。経済の右です。
80年代のイギリスのサッチャー首相、アメリカのレーガン大統領の経済政策に代表され、日本では中曽根康弘首相による国鉄、電電公社、専売公社の民営化、小泉純一郎首相による郵政民営化がその流れにあります。小泉首相のブレーンであった竹中平蔵、現パソナグループ会長も典型的な新自由主義者です。

経済の右にいるのは、財務省、日本銀行、金融政策で経済を立て直そうとするリフレ派、アベノミクスも右の経済政策です。

経済の右、新自由主義は政府の関与をなるべく減らそうとします。
したがって経済の右の人たちが政府を主導すれば、国民の危機に給付金を出すことを渋るのは当たり前のことだったのです。

それに対抗する経済の左に上越零細連はいます。
政府は国民を守る義務があります。国民に努力を強い、脱落した者は努力が足りなかったなどと政府が言うことは絶対に許されません。

そもそも「国の借金」という考え方自体が嘘なのですから、政府は十分に財政出動をして国民を助けなればならないのです。コロナ禍に給付金を出し渋ることで、経営苦から自殺する人が出るなど政府がその義務を放棄したと言うほかありません。

経済の右、政治の右

経済の右、政治の右

それではここから、経済の右左、政治の右左で4つに分かれるカテゴリーにどんな人、団体がいるか見ていきましょう。まずは経済が右、政治も右のグループです。

菅義偉首相、安倍晋三前首相、麻生太郎財務大臣はここにいます。
経済の右にいる彼らは消費税減税を検討することなどまずありません。
日本維新の会と橋下徹元大阪市長もここに該当します。

メディアでは読売新聞や産経新聞がいます。

この図に「自民党」はありません。
自民党という政党は政治は右ですが、経済においては議員によって右と左がそれぞれいるのです。多くの人が見落としていますが非常に大事なポイントです。

経済の右、政治の左

経済の右、政治の左

次に、政治ではいわゆる左ですが、経済政策は実は政府と同じ右の人たちです。

経済団体では経団連。
朝日新聞、毎日新聞といったいわゆる左派の新聞も該当します。日本経済新聞の「経済」とは右の経済です。なんということでしょうか。全国紙のすべてが経済は右の主張であることに注目してください。

政党では最大野党の立憲民主党。
政治では左のため、いつも自民党を攻撃している印象がありますが実は経済は政府と同じ右なのです。自民党を攻撃しながらも消費税減税になると及び腰になるのは元々経済政策の方向が政府と同じだからです。

こうなってしまう理由は、リベラル(政治的自由)とネオ・リベラル(新自由主義=経済的自由)はともに「自由」を求めている、というところにあるのかも知れません。つまり、リベラルは自由を求めるが故に、そのうちの多くは自ら気づかぬうちにネオ・リベラルに取り込まれてしまうのです。

経団連、政府、最大野党、全国紙がすべて経済で右を向いていては、庶民の苦しむ声が形になるはずもないのです。

評論家では元NHKキャスターの池上彰氏。
彼の経済理論は嘘が多く、その知名度とわかりやすい話しぶりで「国の借金はよくない」と新自由主義を扇動しつづけています。

そしていわゆる「地方創生」に便乗したコンサルタントたち。
彼らは自らは東京の豊かさに安住しながら、地方は努力が足りない、自分たちの工夫で生き残れと叫びます。

『稼ぐまちが地方を変える』の木下 斉氏。
『里山資本主義』藻谷浩介氏。
「未来をつくるSDGsマガジン『ソトコト』」編集長の指出一正氏。

彼らは地方を食い物にするシロアリです。
最近流行りのSDGsなどは彼ら意識高い系地方創生コンサルの新たなメシのタネになっていることでしょう。騙されてはいけません。

経済の左、政治の右

経済の左、政治の右

では次に経済の左を軸にを見てみましょう。
我々零細連が注目しているのが、この経済が左のカテゴリーにいる人たちです。

まず経済が左で政治が右の人たち。

ここに当地新潟6区の高鳥修一議員がいます。
また、MMT(現代貨幣議論)の議論にたびたび登場する方々、
藤井 聡氏(京都大学大学院教授)
安藤 裕氏(自民党衆議院議員)
西田昌司氏(自民党参議院議員)
などはこのグループです。

「経済の右、政治の右」のところでも書きましたが、注目すべきは自民党にあって経済は左の人たちがいるということです。
2021年2月に高鳥議員たちの呼びかけで提言に賛同した85名の自民党国会議員は、経済が右の政府に対し経済が左の考えで財政出動を提言したというわけです。

経済の左、政治の左

経済の左、政治の左

最後に、経済が左で政治も左のグループです。

ここにれいわ新選組の山本太郎代表がいます。
彼は政治家になった当初から経済は左の主張をしていました。

そして日本共産党。彼らは政治はもちろん左ですが、経済についても左。
つまり、自民党の一部の議員と経済については同じ方向を向いているのです。

また、最近立憲民主党の原口一博議員が経済の左の発言をしています。立憲民主党の中にも経済の右左が分かれつつあるのかもしれません。

こうして見ていくと、いかに「政党」というくくりが経済において足かせになっているかわかろうというものです。政治の主張で団結した政党は一見一枚岩に見えます。しかしこと経済政策においてはこのように考え方が分かれている場合があるのです。

いっそ、経済政策の右左で連立を組んだらよいとすら思います。
たとえば自民党の経済左派とれいわ新選組が経済政策で連携する、そんなことができたならば、コロナ禍のような非常事態に国民は救われたのかもしれません。

アメリカと日本の差

ドナルド・トランプアメリカ前大統領(共和党)は経済の左、政治の右です。
コロナ禍においては大胆な財政出動を行いました。日本の特別定額給付金にあたる給付金も3月と12月と2回支給しています。
今のジョー・バイデン大統領(民主党)は経済は左、政治は左です。就任早々3月に給付金を支給しています。1回給付して「貯金は増えた」(麻生財務大臣2020年10月24日発言、日本経済新聞2020年10月25日)などという理由で支給を渋る日本とはえらい違いです。

財政出動を渋ったツケははっきり表れています。

米国商務省が4月29日に発表した2021年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率6.4%となった

JETRO(日本貿易振興機構)ビジネス短信 https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/05/8d5789f4bd1a517a.html

ことし1月から3月までのGDPは、前の3か月と比べた実質の伸び率が、年率に換算してマイナス5.1%と、3期ぶりのマイナスとなりました。

NHK「昨年度のGDP -4.6% リーマンショック超える最大の下落」https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210518/k10013036691000.html

前期比と前の3ヶ月との違いはあるにせよ、ガッカリしますね。
経済の左(アメリカ)と経済の右(日本)の違いです。

緊急時の今は緊縮財政とか財政健全化などと言って政府の財布の紐を締めるのではなく、大胆に財政出動することによりお金を回すことこそ必要であると証明しているわけです。

最後に

・これまでは政治の右左だけにとらわれて経済の右左を見落としてきた
・経済の右(新自由主義)は庶民、中小零細事業者を犠牲にする
・我々中小零細事業者が後押しすべきは経済が左の政治家

いかがだったでしょうか。こうして経済の右左の違いを知ると、政府、政治家、学者、メディア、評論家が語っている言葉の裏に本音が透けて見えてきます。

我々上越零細連は、政治については各個人の自由で良いと考えています。支持政党があってもなくても、無党派であってもよいでしょう。ただし、経済については左を主張します。

現時点で「当新潟6区から選出されている国会議員が経済については左の方向性を持っている」ということは事実として理解すべきでしょう。

上越零細連は、私たちの声が本当に政府に届くようになり、日本が変わっていくために今後も活動してまいります。このレポートが日本経済を理解する一助になれば幸いです。

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