「どちらにも投票しようがない」第50回衆議院議員総選挙に関する上越零細連による声明

第50回衆議院議員総選挙に関する上越零細連声明 提言、意見

拡大した新選挙区

50回目となる衆議院議員総選挙が2024年10月27日に投開票となります。

みなさんご存知のとおり2022年12月に公職選挙法が改正され、これまでの新潟6区は新しい新潟5区として衆院選を迎えます。

上越零細連も発足以来対象エリアを新潟6区としてきましたが、この選挙から面積が大幅に拡大した新しい新潟5区を対象といたします。

新たに5区となった魚沼市、南魚沼市、湯沢町の中小零細事業者のみなさまには今後ともぜひお見知りおきをいただければと存じます。


上越零細連の目的は、当該選挙区選出の国会議員に対して、地元中小零細事業者から経済に関する諸問題の解決を求めていくというものです。

それは陳情や要望のような頭を下げて「お願い」するのではありません。

経団連や経済同友会といった利益団体、いわゆる圧力団体を英語では「pressure group(プレッシャーグループ)」と呼ぶそうですが、その地域版です。

地域で地に足をつけた経営者が日々問題に直面する中で得た知見を活かし、国会議員に対して地域を、ひいては日本を良くするための政策を提言し国政での実現するよう求めていきます。

どちらにも入れようがない

現在、新潟5区エリアには二人の国会議員前職が立候補しています。

先の衆院選で当選した梅谷 守 前議員(立憲民主党)、選挙区では130票差で敗れたものの比例代表北陸信越ブロックで議席を獲得した高鳥修一 前議員(自由民主党)。

今回の衆院選でもその二人が立候補し、10月15日より選挙戦が始まっています。
当団体は経済団体につき詳細は述べませんが、それぞれが不祥事を抱えた中での選挙となっています。

しかし、それらを差し置いたとしても、

今回ばかりは「どちらにも入れようがない」

というのが上越零細連のスタンスといたしました。

今回の声明ではそのことについて説明していきます。

なお、実際の投票行動においては団体としてのスタンスがメンバー個人の投票の自由を縛るものではないことをここに表明しておきます。

どちらの政党、政治家であっても最後は増税につながる

梅谷氏、高鳥氏がそれぞれ政党に所属している以上、その党が何を主張しているかは重要です。

2024年10月13日のNHK『日曜討論』において、自由民主党石破総裁と立憲民主党野田代表は、消費税についてそれぞれ以下のような見解だったようです。

自由民主党 石破茂総裁は

消費税の税率については「消費税を減税するやり方をとれば社会保障の安定的な財源が確保されないので引き下げることはしない。最初から決め打ちはしないが、当面、引き上げることも考えていない」と述べました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241013/k10014608701000.html

首相は消費喚起策として野党の一部が主張している消費税の税率引き下げや廃止について「消費税を減税するやり方を取ったとしても社会保障の安定的な財源が確保されない」と指摘した。そのうえで当面の消費税の増税も否定した。

2027年9月までの党総裁の任期中に消費税を増税しないかと聞かれ「経済、社会保障の状況がどうなるかだ。最初から決め打ちはしていない」と述べるにとどめた。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA130NG0T11C24A0000000/

消費税を安定的な「財源」とみています。
これは大きな間違いです。

一方の立憲民主党 野田佳彦代表は

立憲民主党の野田佳彦代表も消費税の減税に関し「高額な所得者が額として一番恩恵を受ける」と距離を置いた。中低所得者の消費税負担の一部を税額控除と給付で軽減する「給付付き税額控除」を導入すべきだとの認識を示した。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA130NG0T11C24A0000000/

なぜシンプルに廃止とは言わないまでも減税すら言えないのでしょうか。
それは消費税を8%に上げた張本人だからでしょう。

ここから見えてくるものは、国民が困っていても減税はしないという姿勢です。
2020年、コロナ時に我々が行った提言は今の日本にも有効です。

物価高対策については物価を直接10%引き下げる「消費税廃止」が、賃上げには、労使双方にとって賃上げに対する「罰金」ともいえる「社会保険料(税)」の廃止が、確実に有効なのです。

しかし自民、立憲とも弱者を救うことには否定的です。

緊縮ポピュリズムは日本を滅ぼす

それはなぜか。彼らはともに「緊縮ポピュリズム」に毒されているからです。

「緊縮ポピュリズム」とは無知ゆえか意図的か政府の財政を予算制約が存在する「家計」と同一視し、「収入以上の支出は将来世代へのツケ回しとなる」と人々を脅かした上で、公共的な支出(教育、福祉、インフラ整備など)を削ることで支持を得る一方、大企業や富裕層に有利なしくみを作り、結果として格差の拡大や脆弱な教育、福祉、インフラをもたらすものです。
小泉改革や維新の会による政治がその典型といえましょう。

緊縮ポピュリズムに騙されるな

日本は大企業、大都市、富裕層だけで成り立っているのではありません。

上越零細連を立ち上げるとき「誰が地方を殺すのか」と書きました。
梅谷氏と高鳥氏は、国会議員の立場からこの緊縮ポピュリズムを正すことで地方を、自分のふるさとを救わないといけなかったのです。

しかし彼らの普段の言動や公報、チラシを見る限り、彼ら二人がこの間違いに気づいているとは到底思えません。

高鳥氏は「積極財政」をこそ謳っていますが、なぜ積極財政なのか、どう積極財政を形にするのかが見えてきません。

そもそも石破総理が消費税を「安定財源」とみている以上、社会保障給付の増大によりいずれ増税が必要と考えていることは明らかです。

高鳥氏が積極財政を謳うのであれば、自民党の中で大勢を占める緊縮財政議員をいかに変えていくかを語らなければなりません。

それは今の自民党の中で高鳥氏がリーダーシップをもってあえて獅子身中の虫になることを指しますが、その勇気が高鳥氏にあるでしょうか。そこが問われているのだと我々は考えます。

梅谷氏はチラシにこう書いています。
「今だけ、金だけ、自分とそのお友達だけと向き合い、アメリカに忖度する政治ではなく、子どもたちの未来をみすえ国民と向き合う政治へと切りかえます」

これは自分に対して言っているのでしょうか。

立憲民主党も向いている方向は自民党と同じであることに気づくべきです。梅谷氏が自民党批判のための批判をしているうちは、何も変えることはできないと考えます。

彼らはともにチラシ等でいわゆる「地域にお金を落とす」「地域に予算を引っ張ってくる」努力をしてきたと言います。しかし、それだけをもって国会議員の仕事を勘違いされては困るのです。

今のところ二人に地方から日本を良くしていくビジョンは見えません。

最低賃金1500円を実現するならまずやるべきこと

ところで与野党各党は最低賃金1500円の早期実現を公約に挙げています。
もとより我々は低所得者を救済するための最低賃金引き上げに反対するものではありません。

しかしながら、賃上げの努力をただ事業者に丸投げするだけではおそらく実現は困難でしょう。

後日語る機会を持ちますが、日本で30年以上も賃金が低迷している原因は、たとえば1998年から実行された金融ビッグバンにより、賃金を抑制し株主配当を増やす経済構造になったことも大きいでしょう。

また、大企業が下請け企業や取引先の中小企業を搾取する長年の慣行も近年、より峻烈化しているように思えます。

このような庶民や零細事業者から、大企業や金融資本や富裕層へ富が流れる構造を正さない限り賃金抑制の根本的な解決には至らないでしょう。

この点は自民党、立憲民主党ともに変わりません。

何度でも言います。

日本は大企業、大都市、富裕層だけで成り立っているのではありません。
地方を無視した経済政策で日本は滅びこそすれ発展することはありません。

「政府を家計や企業などと同一視し、政府は収入以上の支出を続けることは不可能であり、財政赤字は将来世代の負担となる」と言っているうちは誰がやっても良くはならない、一部の犠牲の上に立つ政治が正しいことはないのです。

地方にとって、庶民にとって、零細事業者にとって、自民党の経済政策は地獄ですが、立憲民主党の経済対策でも地獄なのです。

したがって我々は今回の選挙で梅谷氏も、高鳥氏も、どちらも選ぶことができません。

結論
  • 自民党も立憲民主党も「緊縮ポピュリズム」に毒されている
  • このままでは地方の中小零細事業者は死を待つばかり
  • 梅谷氏、高鳥氏は党の経済政策が間違いであることを知り、党を変える努力をすべし
  • 今のままではどちらにも入れようがない

以上

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