誰が地方を殺すのか ~上越零細連 マクロ経済政策~

この国の「多様性」が失われようとしています――。

地方の幹線道路沿いは、大資本の均質的なチェーン・ストアが立ち並び、人々はそれらが提供する画一的な生活スタイルを選択させられています。

日本ではここ数十年間、「新自由主義」の名の下に「効率性」が優先され、零細事業者は「不効率」と切り捨てられる政策が行われ続けてきました。

その結果、地域において商品やサービスを提供していた個性豊かな小さな店や会社が次々に消滅しています。

さらに新型コロナウイルス感染拡大に伴う「補償無き」自粛「要請」が、体力の弱い零細事業者をまさに「存亡の危機」に陥れているのです。

私たち上越零細連は、自らの存亡のために、また愛する郷土のために、このような状況をもはや看過することはできません。

この国の「多様性」を取り戻すため、上越零細連は以下のとおりの経済政策を提言します。

地方が死ぬということは日本が滅ぶということなのですから。

令和2年5月4日(第2版)

家計から所得を奪う経済・財政政策をやめよ

・大企業を肥大化させる一方で、零細事業者を支えている家計を貧困化させる経済政策はすぐに止めよ
・消費税の廃止や社会保険料額の引き下げなど、家計の貯蓄と購買力を増加させる政策へ転換せよ

 私たち零細事業者の主な顧客は、慎ましく日々の生活を送るこの国のごく普通の人たちです。

しかし日本政府はこの数十年の間、家計の貯蓄を奪う消費税の増税や社会保険料を増やし続けることなどにより、家計を貧困化させてきました。

その一方で大企業に対しては、法人減税や労働規制緩和など、大企業に有利な規制緩和を行ってきたのです(資料1)。

(資料1)法人税率引き下げにより法人税収は減少する一方、消費税収は増加し続けている

出典 財務省ホームページ
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a03.htm

その結果、大企業は労働分配率を引き下げ賃金を減らし続け(資料2)、資金収支黒字を膨らませる一方、家計は所得を奪われ続けてきたのです(資料3)。
今や「貯蓄ゼロ」世帯も珍しくはありません。

(資料2)橋本内閣が1997年から本格的に始めた「構造改革」以降、名目賃金が減少し続けている

実質賃金指数
出典 毎日新聞ウェブサイト 2018年12月3日
「アベノミクスは消費税率引き上げを乗り越えられるか? 5%賃上げが必要」
山本幸三 元地方創生担当相
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20181129/pol/00m/010/003000d

(資料3)同じく「構造改革」以降、主に大企業が賃金や投資を減少させ資金収支が余剰超過に転じる一方、家計の資金余剰は縮小している

各部門の資金過不足
出典 ロイターウェブサイト 2017年11月21日
コラム:株高の背後で不均衡拡大、逆ワッセナー合意の出番
竹中正治龍谷大学経済学部教授
https://jp.reuters.com/article/column-masaharu-takenaka-idJPKBN1DL04Q

さらに政府のみならず日本銀行までも、「異次元の量的緩和」によって上場投資信託(ETF)や大企業のコマーシャル・ペーパーや社債を購入しています。これは、日銀から大企業への事実上の「給付金」となっているのです。

大企業を過剰に肥え太らせる一方、私たち零細事業者を支える家計を貧困化させる経済政策はすぐに止めるべきです。

そして消費税の廃止や社会保険料額の引き下げなど、家計の貯蓄と購買力を増加させる政策へ転換すべき時に来ていると私たちは考えます。

「財政制約」から「供給制約」に目を向けよ

・日本政府は、現実には存在しない「財政制約」に無意味に捉われるのではなく、本当の制約である「供給制約」により目を向けよ
・地域の多様な「供給力」を守るために、政府は消費税の廃止や地方交付金の増額など、財政を伴う必要な政策をインフレーション等に留意しながら実行せよ

いわゆる「主流派経済学者」やその影響下にある日本政府は、「財政制約」つまり「消費税や社会保険料は、日本の社会保障を支える<財源>であり、これらを引き下げることで発生する<財政赤字>は、いずれ<将来世代の負担>となる」と国民を脅すことで、家計の所得を奪う経済政策を正当化してきました。

しかし私たち上越零細連は、これら「税は財源である」「財政赤字は将来世代の負担となる」といった主流派経済学の考えそのものを嘘だと看破し否定するものです。

「税は財源ではない」ことの詳細は「税金は財源ではない!」「国の借金」という言い方をやめよう!! <僕らのMMT リミックス01> いまぴーの革命レディオ 参照

「税金は財源ではない!」「国の借金」という言い方をやめよう!! <僕らのMMT リミックス01> いまぴーの革命レディオ 解説:ひろぽん

私たちが真に気をかけるべきは、「財政の制約」ではなく「供給力の制約」です。

なぜなら、実際に実物的な財やサービスを人々に供給しているのは、財政という「帳簿上の数字」などではなく、モノやサービスを実際に生産している人や組織だからに他なりません。

しかしながら日本政府は、「新自由主義」の名の下に緊縮財政と規制緩和を推し進め、私たち零細事業者を支えてきた家計を貧困化させてきました。その結果、零細事業者もまた減り続けているのです。

中小企業数は1995年の485万社から2016年には359万社まで減少している(『2020年版 中小企業白書』より)

地方の小さな店や会社が担ってきた多様な「供給力」は、一度無くなってしまうともはや容易には復元することはできません。そして、失われた地方の供給力の跡地には大資本チェーン・ストアが進出し、地方の多様性がさらに失われてしまうという悪循環に陥っているのです。

日本政府は、現実には存在しない「財政制約」に無意味に捉われるのではなく、本当の制約である「供給制約」により目を向けるべきなのです。

そして、地域の多様な「供給力」を守るために、政府は消費税の廃止や地方交付金の増額など、財政を伴う必要な政策をインフレーション等に留意しながら実行していくべきと考えます。

グローバル大資本を適切に規制せよ

・日本政府はグローバル大資本を適切に規制し、地方の零細事業者がグローバル大資本と対等に戦える環境を整備せよ

Amazonを代表とするグローバル大資本は、国境をまたぐネットワークと資金、そしてタックス・ヘイブンを駆使し、国家に匹敵する強大な影響力を世界に行使しています。

残念ながら私たち零細事業者では立ち向かうにはあまりに無力といえます。

私たちは、強大なグローバル大資本と対峙できるのは日本政府以外にはあり得ないと考えています。

しかしながら現在の政府は、グローバル大資本から日本の多様性を守る義務を放棄していると言わざるを得ません。

日本政府は主権を行使してグローバル大資本を適切に規制し、私たち零細事業者がグローバル大資本と対等に戦える環境を整備すべきです。

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